私が大手コンビニ塾に限界を感じた理由~その1~

 

  昨日の記事で、「公立中学校のワークは学校ごとに違いますよ」という話をしました。

 

その話題の中で学生講師は「生徒が中学校でどの教科書やワークを使用しているかすら知らないケースがある」という事を述べました。

 

  ここについて、ひとつ確認しておきたいのですが私は「大学生の人たちが悪い」とは少しも思っていません。

 

先に結論を述べておくと、学生を安い給料で働かせて、生徒や保護者には高い授業料を払わせて金儲けをするコンビニ塾のシステムが悪いと思っています。

 

はっきりと言いますが、このシステムでは学習塾として限界が見えています。

 

私にとって、たくさんの学生の講師達と一緒に働けた10年間は大きな財産です。

 

私は教室長として学生講師を育てて生徒の授業を任せていく側の人間だったんですが、学生講師を育てていく中で学ばせてもらったこともたくさんありますよ。

 

大手塾を辞める時も自分の教室の学生講師の人たちと「もっと一緒に働きたい」と後ろ髪を引かれる思いもありました。

 

ただ、学生講師中心のコンビニ塾ではその「もっと一緒に働きたい」ということすら実は無理なことなんですね。

 

なぜなら多くの大学生は4年間で塾講師というアルバイトは辞めて、就職するからですね

 

中には大学院へ行く学生講師もいますが、大学院生になると忙しいのでほとんどの場合は週1日程度しか働けなかったり、欠勤も多くなったりします。

 

大手時代の10年間でたくさんの学生講師と一緒に働かせてもらいました。 150人にはなるんじゃないかと思います。本当に短い期間だけの付き合いも含めるならばそれこそ数え切れません。

 

そんな学生講師の中には魅力のある人物がいっぱいいましたよ。

 

塾の先生として才能を感じる人材だってもちろんいましたよ。

 

でも彼らの本業は学生であり、学生生活が終わったあとの夢も一人一人持っているわけです。

 

こちら側が何年でも一緒に働きたいと思っても、コンビニ塾のシステムではそれは無理なんです。

 

コンビニ塾のシステムでは、生徒の成績を上げようと思うと必ず「講師育成」に目を向けることになります。

 

自分で言うのもなんですが、大手時代は生徒の成績を上げる為に「講師育成」を私は重視していました。

 

「授業中心」のサービスであり、「授業を学生講師に任せる」わけですから生徒の成績向上を目指そうと思うと必ず「講師育成」を考えます。

 

これは個別指導塾で働く人間の多くが通る道です。「生徒の成績を上げる」ことに興味のない人間はそこすら通らないでしょうが。

 

働いていた10年間、どのようにして学生の人たちに「良い講師」になってもらうかをずっと考え続けていましたね。

 

コンビニ塾の枠組みの中で自分なりに出来ることは精一杯やってきました。

 

しかし、コンビニ塾では限界があるんですね。

 

どんなに良い講師がいても、ほぼ4年間で卒業していくからです。 4年間働ければ良い方です。

 

実際には数か月で辞めてしまう学生も多いですし、大学2,3年生で働き始めたら当然1~2年しか働けません。 コンビニ塾のシステムでは、短いサイクルの中で永遠に講師を育て続けないといけないわけですね。

 

そして「1人前になってきたかな」というところで辞めていく。

 

生徒が学校で使っている教科書やワーク、カリキュラム、入試システム、入試問題形式など塾講師として必要な知識を教えても数か月~最長4年で去って行ってしまいますから。

 

つまりどんなに頑張っても、教室として5年目の上積みはないわけですね。

 

客観的に考えると「あたりまえ」のことなんですが、コンビニ塾の枠組みの中で思考しているといつしか忘れてしまうんですよ。

 

私は「講師をもっと早く育てられない自分自身の力不足」だとずっと思いこんでましたから。

 

大手コンビニ塾を辞める1~2年前くらいからですね。育てた講師が大学卒業と共に辞めていく現実がとても虚しいと思うようになったのは。

 

コンビニ塾で創立〇〇年みたいに創業年数の長さをアピールしてたりする会社もありますが、長い年数経ってても生徒に一番近いところで実際に教えている講師は4年周期で入れ替わってるんで何も上積みなんてありませんよ。

 

むしろ長く続けていることで、何の仕事をしているのか分からない社内のお偉いさんがやたら高い給料もらってて、保護者の払う授業料が無駄に吊り上がっているだけかもしれません。

 

「どれだけ講師を育てても、5年目の上積みは絶対にないシステム。」 私が大手コンビニ塾に限界を感じた理由の1つです。