ONとかOFFとかそんなの関係ない。

 

生徒が夏休みである8月中に長く休校となる学習塾も多いようですね。

 

私がかつて働いていた大手塾も、8月中に1週間ほどの長い休みがありました。

 

中学・高校・大学受験生には「夏休みは受験の天王山!」なんて煽り、たくさんの夏期講習の授業を申し込ませておいて、その夏期講習中に長い休みを設けるのは何だか矛盾しているようにも感じます。

 

受験生が勉強しなければいけない夏休みに長期休暇を取る後ろめたさからなのか、長い休みを8月中に設けている塾の先生で、

 

「ONとOFFを使い分けて、休む時はしっかり休むことも大事!」

 

なんて言っている人もいるようです。

 

普段は「勉強は継続が大事!」とか偉そうに生徒に言ってるくせに、都合のいい時だけ「ONとOFFを使い分けろ!」なんて何だか滑稽です。

 

いちいち、そんなおかしい言い訳をするくらいなら、

 

「塾の先生も夏休みがほしいので、申し訳ありませんが〇日~〇日はお休みいたします」と言うほうがよっぽどマシに思えます。

 

実際のところ、ONとかOFFとか勉強においては全然意識する必要ないですよ。

 

勉強で結果を出す人達ほど淡々と継続しています。

 

「よし今日は勉強するぞ!」とか「今日からがんばるぞ!」なんて、いちいち気持ちをONに持っていっているように見えないんですね。

 

「昨日はがんばったから今日はOFFだ!」なんてのもありません。

 

ONやOFFなんて意識することなく、淡々と毎日の学習を習慣化し継続していますよ。

 

勉強に関しては、継続がものを言うことは間違いありません。

 

その継続に大事なのは、むしろ気持ちのON・OFFを作らないことなのではないでしょうか?

 

脳科学者の茂木健一郎さんは著書『すぐやる脳の作り方』のなかでこのように述べています。

 

 

~~~~以下引用~~~~

 

 

そこで大事なのが、あまり深く考えないことを習慣化することです。

習慣化のためには、「自分が何か特別なことをやっていると思わない」という「脳の脱抑制」が大事になってきます。特別なことをやっていると意識することで、脳が身構えてしまうからです。

 

話はやや横にそれますが、私はここ数年でジョギングを習慣化することに成功しました。その習慣化の結果として、先日、東京マラソンを完走することができました。フルマラソンを完走したのは今回が初めてです。

 

その習慣化の成功要因は、まぎれもなくこの「脳の脱抑制」にあります。

「さぁ、ジョギングするぞ!」と特別なことをやろうと身構えてしまうと、その時点で脳に抑制がかかり、なかなか続きません。それよりも、あくまで自然体で何も考えずに、「散歩でもしに行こうか」くらいの感覚で続けることが望ましいのです。

 

脳の前頭葉には「努力する為に使う回路」とも呼ぶべき部位があります。その回路が活性化されている状態が、一般的に「頑張っている」と呼ばれる状態です。

この「努力する回路」は意外なことに、何かを習慣化したり継続したりすることには向いていません。なぜならその回路はことのほか脳のエネルギーを消耗させるため、頑張り続けると疲れてしまうからです。

 

つまり、毎日「頑張るんだ」と意識し続けている人は、実は相当な脳への負荷がかかっているのです。

人間誰もが、火事場の馬鹿力で特別に頑張らなければいけない時があります。それでいざことが済むと、どっと疲れが押し寄せてきます。

なぜなら、脳に大きな負担がかかってしまって疲れるわけです。毎日こんなことをしているようでは、当然、習慣として続けることはできません。

 

そう考えると、目の前の努力を「頑張る行為」と意識せず、何も意識せず行えるよう「習慣化」することが成功への近道ということになります。

 

最初は努力、つまり強度のある負荷がかかっても、いつかそれを「当たり前の行為」へと変身させる。それが大事なポイントです。

自転車に乗るとき、こぎ出しが一番きついけれど、スピードに乗ってくればあとは楽になる。これと同じ境地を目指せばいいのです。

 

 

~~~~引用終わり~~~~

 

 

引用中の言葉を借りるなら、ON・OFFを使い分けることは「特別なことをやっていると意識する」ことに他なりません。

 

勉強を特別視してONやOFFという発想を持ち込むことは、かえって習慣化を妨げると言えるのではないでしょうか。